あの年に生まれた「こどものとも」

1986年 新しいお友だちとの出会いを、子どもの目線から描いた絵本『とん ことり』

01イギリスのチャールズ皇太子とダイアナ妃夫妻が来日した1986年。この年からご紹介するのは、筒井頼子さんと林明子さんコンビの6作目『とん ことり』(4月号)です。『とん ことり』を刊行したのは、おふたりがはじめて一緒につくった絵本『はじめてのおつかい』の刊行からちょうど10年後でした。

03主人公は山の見える街に引っ越してきた女の子・かなえ。お父さんお母さんと荷物の整理をしていると、“とん ことり”と、玄関の方で小さな音がします。玄関にいってみると、郵便受けの下にスミレの花束が落ちていました。かなえはドアを開けますが、そこには誰もいません。

次の日、また同じように“とん ことり”と小さな音がしました。かなえは玄関に走ります。今度は郵便受けにタンポポの花束が入っていました。そしてその次の日には、「ともだちはいいです とてもうれしいです まっています」と書かれた手紙が届きます。かなえは“とん ことり”と音がする度に誰が来たのだろうと玄関のドアを開けますが、その時にはすでに誰もいません。

次こそはと意気込んでいたかなえ。その時、“とん ことり”と音がしました。かなえは玄関のドアを大急ぎであけます。そこに立っていたのは……。

02知らない街で友だちをつくるまでの繊細な心の動きを描いた物語に、子どもたちは共感し、かなえになった気持ちで楽しむことでしょう。

また絵本には繰り返し読むことで気づくことができる楽しみも隠されています。お話を読み終えてからもう一度、はじめから絵をじっくり追ってみてください。家族で新居に荷物を運びいれる場面では、黄色いシャツに赤いズボンをはいた女の子をどこかに発見することができるでしょう。また街ではじめてお母さんと買い物する場面や、公園に行く場面でも……。

そしてさらに、街にお母さんと買い物に行くページで商店街のお店をよく見てみると、『はじめてのおつかい』で登場したサングラスをかけたおじさんも見つけることができます。おふたりの他の作品、『あさえとちいさいいもうと』『いもうとのにゅういん』でも、このように思わずくすりとしてしまう仕掛けを見つけることができますので、お話と一緒にこんなところもお子さんと楽しんでいただきたい絵本です。

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この年は他に、『エンソくん きしゃにのる』(7月号)、『ムッシュ・ムニエルとおつきさま』(10月号)なども刊行されました。

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