あの年に生まれた「こどものとも」

1994年 500色の色鉛筆で描く、とっても小さな生き物の世界『サラダとまほうのおみせ』

1994_01 日本人初の女性宇宙飛行士・向井千秋さんが宇宙へ飛び立ち、大江健三郎さんがノーベル文学賞を受賞した1994年の1冊としてご紹介するのは、「やなぎむら」シリーズの第1作『サラダとまほうのおみせ』です。

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大きな大きな柳の木の下に、小さな小さな村がありました。その村は「やなぎむら」といいました。やなぎむらには、ばったのトビハネさんと、かたつむりのキララさんと、くものセカセカさんと、ありのパパ、ママ、ぼうやのセッセかぞくが住んでいました。ある日、この村にいもむしのモナックさんが引っ越してきて、「サラダとまほうのおみせ」を開きました。モナックさんの作るはっぱのサラダはとてもおいしかったので、みんなは毎日食べに行きました。ある日、セッセかぞくのぼうやがモナックさんに聞きました。「まほうは、どこにあるの?」すると「それはひ・み・つ。でも、もうすぐわかるよ」とモナックさん。さあ、どんなまほうなのでしょう? あぶら かだぶら~。

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東京で生まれ育った作者のカズコ・G・ストーンさんは、子どものころから昆虫が大好きでした。当時は、東京にも緑はいたるところにあって、今はコンクリートで固められてしまった荒川の土手は、緑の草が丈高く生い茂り、バッタも、トンボも、メダカも、ザリガニも豊富にいたといいます。夏になると網を持って走りまわっていたというカズコさんが、とてもとても小さな生き物の世界を描いてみたいという思いから生まれたのが本作です。幼い子どもたちの目を引くのは、大きくて、はっきりしていて、色あざやかなものと大人は思い込みがちですが、幼い子どもたちは、床の上に落ちている数ミリ程度の小さなゴミを拾ったりすることがよくあります。背が低くて床面がよく見えるというだけではなく、小さいものにひかれる理由があるのかもしれないとカズコさんは考えます。

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美しい色彩と繊細な線で描く「やなぎむら」シリーズは、その後、『ほたるホテル』『きんいろあらし』など、四季折々の小さな生き物たちの物語がうまれ、現在は7作品あります。子どもたちに身近な昆虫たちの小さな小さな世界をお楽しみください。

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