あの年に生まれた「こどものとも」

1985年 「ことばの感覚」と「目に見えないものを描く力」 『めっきらもっきら どおんどん』

DSCF4166春から連載してきた「こどものとも」60年(720冊)の歴史も、ちょうど中盤の1985年に突入しました。この年、それまで『みず』『じめん』など「かがくのとも」で作品を発表していた長谷川摂子さんが『めっきらもっきら どおんどん』(1985年8月号)で「こどものとも」にデビューしました。

ちんぷく まんぷく
あっぺらこの きんぴらこ
じょんがら ぴこたこ
めっきらもっきら どおんどん

めちゃくちゃの歌を大声でうたったかんたが木の穴にすいこまれ、へんてこな3人組に出会う物語です。長谷川摂子さんは、柳田國男氏が民俗学研究の中で描きだした古来の日本人の営みのありかたに魅了され、アイヌやアメリカンインディアンの口承文学にも関心をもっていました。このような分野への造詣から、古来から口伝えされてきた「意味を持たないことば」の力をとても大切に考えていました。『めっきらもっきら どおんどん』は、古来のあやしことばでご自身の息子さんを笑わせたいとの思いから生まれた作品でした。

DSCF4169へんてこな3人組のうち、狐面に似た「もんもんびゃっこ」は降矢ななさんが描いた絵から長谷川さんが創作した名前ですが、赤い髪の「しっかかもっかか」と白い眉毛とひげが特徴の「おたからまんちん」の名前は、昔から幼児をあやす無意味なことばとして伝えられていたものだと、長谷川さんは語っています。

『めっきらもっきら どおんどん』は、長谷川さんの「ことばの感覚」と、降矢さんの「見えないものを描きだす力」が一体となってできあがった1冊といえるかもしれません。その後もこのコンビは、『きょだいな きょだいな』(1988年5月号)や『たあんき ぽおんき たんころりん』(1991年5月号)、『おっきょちゃんとかっぱ』(1994年9月号)など、おふたりにしか生み出せない世界を次々と絵本にしていくことになります。

DSCF4177ちんぷく まんぷく
あっぺらこの きんぴらこ
じょんがら ぴこたこ
めっきらもっきら どおんどん

『めっきらもっきら どおんどん』の歌を、くちずさんでみてください。できればちょっと大きめの声がおすすめです。なんだか愉快になって、のびのびとした気持ちになってきます。そして、何度かくちずさんでいるうちに、意味がなかったはずのことばの響きが、何かを語りかけてくることに気づくのではないでしょうか?

長谷川さんと降矢さんコンビの絵本を手にとったら、ぜひお子さんと一緒に声を発してみてください。きっと、おふたりがつくりだした「ことば」と「見えないもの」の世界にすいこまれてしまいますよ。

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