あの年に生まれた「こどものとも」

1972年 手から手へ、子どもたちに手渡した200号。その記念号は、堀内誠一さんの『てがみのえほん』

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1956年4月、世界ではじめての月刊物語絵本として刊行された「こどものとも」は、1972年の11月号で、創刊200号をむかえました。その記念すべき作品は、堀内誠一さんによる『てがみのえほん』です。この絵本は、記念号ということもあり、一風変わった作品で、200号のお祝いに、あちらこちらから「こどものとも」と読者の子どもたちに手紙が届くという趣向です。どんなところから手紙が届くかというと、まほうの国のオズの森に住むよい魔女グリンダや、巨人国おそろし山に住むトロル、透明人間や、サーカス団のどうぶつたちなど、さまざまな生きものたちから手紙が届きます。そして、たくさんの手紙が届いた「こどものとも」の仲間たちは、お祝いをします。全員の意見が一致して、『ぐりとぐら』のかすてらをみんなで作って食べることにしたのです。大きなフライパンで作ったかすてらを長い鼻に持ったナイフで切り分けるのは、ぞうのぐるんぱ。ぐりとぐらも、だるまちゃんも、たろうも、いぬのちろーも、ねこのみーやも、みんなおいしそうなかすてらを前に、とてもうれしそうです。

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また、グリンダの住むお菓子の家に遊びに来たのは、長ぐつをはいたネコですし、もじゃもじゃペーターや、くまのプーさんとコブタといった、児童書が好きな人にとっては、うれしい絵が満載のこの絵本。作品によって描き方を自在に変える、堀内誠一さんの絵を味わう1冊としても楽しめます。それぞれの手紙に貼ってある切手の1枚1枚にも堀内さんの思いが込められています。

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創刊から200号への積み重ねの中で、編集部が実感した大きなエネルギーの中で、最もすばらしいのは、幼児期に「こどものとも」を読んで育った子どもたちの目だといいます。初期の「こどものとも」に出会った子どもたちが、大学生や社会人になり、なかには親になった人もいるでしょう。絵本の楽しさを知っている新しい世代の誕生に、大きな期待をかけていました。その世代が、これからの「こどものとも」に対してきびしい判断を下すだろう、だから、安住せず、全力をあげて絵本を作っていこうと、編集部は心に誓ったのです。より楽しく、より美しく、より独創的に……。

大きな手と小さな手が重なっている、福音館書店のシンボルマークはこの頃作られました。大きい手は、読者、小さい手は、福音館の社員。親子の手。絵本を読む手。手づくりの本。手は文化のシンボルであり、創造のしるしです。ふたつの手の意味を大切にしたいと願い、作ったマークなのです。

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