あの年に生まれた「こどものとも」

1978年 たくましい背中で、「よしきた まかしときい」『せんたくかあちゃん』

●せんたくかあちゃん表紙1978年には、のちに「ばばばあちゃん」シリーズで人気を集めることとなる、さとう わきこさんが、『せんたくかあちゃん』(1978年8月号)で「こどものとも」デビューを果たしました。

せんたくが大好きなかあちゃんは、家中のものをたらいに放り込んで、全部洗ってしまうと今度は子どもたち、ねこ、いぬ、とりたちを捕まえて、またあっというまにごしごし洗ってしまいました。そして庭の木から木へ、さらに森の木へ物干し縄を張って、せんたくものをどんどん干していくと、「ラムネ のんだみたいに すっきりするねえ」とごきげんです。ちょうどそのころ、空の上からせんたくものをみていたかみなりさまは、「へそが いっぱい ほしてあるぞ」と大喜び。雲を全速力で動かして、子どもたちのおへそをとりにやってきます。ところが、くものすのように張り巡らされた物干し縄に引っ掛かってしまい、「おへそを取りに来るとは生意気なかみなりだ!」とおこったかあちゃんに、ごしごしせんたくされてしまいました。かあちゃんが洗い終わったかみなりさまを干そうとすると、なんとかみなりさまはしわくちゃ、そして目も鼻も口もなくなってしまっていたのです。かあちゃんは子どもたちに言って、かみなりさまの顔をクレヨンで描いてやると、かみなりさまもその顔に大満足で空へ帰って行きました。そして次の朝、かあちゃんがまたせんたくしていると、突然黒い雲がたくさん、かあちゃんの方に近づいてきて…。

●せんたくかあちゃん見開きこのパワフルなかあちゃん、実はモデルはさとうさん自身のお母様なのだとか。様々な経験をしたことで、女性は一人で生きていくたくましさを持たなければと強く思うようになったさとうさん。そんな時に「たくましい女性」として思い浮かんだのは、父なき後に女手一つで姉妹を育て上げた、ご自身のお母様の姿でした。びっくり仰天なお願いにも「よしきた まかしときい」と頼もしく答えるかあちゃんのたくましい背中には、さとうさんのお母様の姿が重なっているのでしょうね。

『せんたくかあちゃん』と同じ1978年に刊行された『はるにれ』(1978年1月号)は、一転して静謐な雰囲気が魅力の一冊です。ことばを一切排した写真絵本の『はるにれ』は、静かな中にも力強さを秘めた一本のはるにれが、四季の移り変わりの中で刻々と姿を変えていく様子を写し取ります。また、佐々木マキさんによる『ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします』(1978年11月号)では、ちょっとおかしなヤギの魔術師「ムッシュ・ムニエル」が初登場します。

●はるにれ、ムニエル

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