あの年に生まれた「こどものとも」

1968年 ヒントになったのは、なんとコントグループのギャグ! 『ぞうくんのさんぽ』

ぞうくん表紙

今年、続編『かめくんのさんぽ』(2016年5月号)が「こどものとも年中向き」として刊行され、今も子どもたちに大人気の「ぞうくんのさんぽ」シリーズ。その1作目、『ぞうくんのさんぽ』が世に出たのは、1968年のことでした。

いい天気でごきげんなぞうくんは、さんぽに出かけました。途中でかばくんを背中に、そしてわにくんをその上に乗せて歩いていきますが、一番上にかめくんを乗せたところで重さに耐えられなくなり…「うわーっ」「どっぼーん」。池の中に落っこちてしまいました。そして、みんなごきげんで水遊びが始まります。

ぞうくん見開き

シンプルな物語とユニークな造形が魅力的な『ぞうくんのさんぽ』(1968年6月号)を手掛けたのは、なかの ひろたかさん。斬新なデザインが目を引く『ちょうちんあんこう』(1966年9月号)で絵本作家としてデビューしたなかのさんは、その2年後の1968年に『ぞうくんのさんぽ』を世に送り出し、子どもたちの心をつかみます。ふしぎな形の木々を背景に、ぞうくんの上にかばくん、その上にわにくん、最後にかめくんと、動物たちが積みあがっていく前半には、積み木遊びのような静かなおもしろさがあり、それが「うわーっ」と崩れ、「どっぼーん」と池に落ちてしまうシーンの躍動感と対比をなしています。

実はこの『ぞうくんのさんぽ』のストーリー、当時流行していたコントグループ「ナンセンストリオ」の「親亀の唄※」をご友人が口ずさんでいたのを聞いて、ぱっとひらめいたのだとか。とはいえ、ナンセンスによるおかしみを持つ「親亀の唄」に対して、『ぞうくんのさんぽ』は「話の運びに合理性(センス)がある」から「ユーモアの絵本」だと、なかのさんは思っているそうです。

かみなりちゃんまた、1968年には加古里子さんによる「だるまちゃん」シリーズ2作目、『だるまちゃんとかみなりちゃん』(1968 年8月号)も刊行されました。加古さんが「遠い異国の未来の姿」を託したという「かみなりちゃん」の住む都市は、ポップな色彩の近未来的な街並みです。放電塔からすべての動力源が供給されているこの都市では、「雲車(ウンカー)」や「雷車(ライカー)」が走っており、極度に進歩した生活が営まれていますが、かみなりちゃんの頭にもついている「カミナリ形」とも言うべき二つの突起が、かみなりちゃんの持っている浮き輪をはじめ、ほとんどすべてのものについているというお茶目な面もあるのです。このかみなりちゃんの住む都市は、発展著しい時代を背景に「未来」への関心が高まっていた、当時の世相を反映しているようでもあります。

親亀の背中に子亀を乗せて、子亀の背中に孫亀乗せて…という歌

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