あの年に生まれた「こどものとも」

1963年 『ぐりとぐら』の登場

青い服と赤い服を着た、野ねずみの「ぐり」と「ぐら」が、ひとつのバスケットを一緒に持ち、子どもたちの前に登場したのが、この年の「こどものとも」12月号でした。

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『ぐりとぐら』は元々、幼年童話『いやいやえん』で評価され、数々の賞を受賞したばかりだった中川李枝子さんが書いた「たまご」という短いお話で、「母の友」1963年3月号に掲載された作品でした。このお話を読んだ編集者は、たちまち絵本になったときのイメージが湧いたと言います。

絵は、「たまご」など「母の友」の童話でも挿絵をてがけた、中川李枝子さんの妹、山脇(大村)百合子さん。温かさとユーモアの感じられる絵にほれ込んだ編集者が、初めての絵本作りに尻込みしていた山脇さんと共に話しあいながら制作をし、原作の世界がさらに広がるような彩りの『ぐりとぐら』ができあがったのでした。そして、この絵本をもって、以降、多くの子どもたちを夢中にする作品を手がける中川さんと山脇さんによる名コンビが誕生したのです。

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『ぐりとぐら』は明るい色彩と、ユーモラスなお話で、たちまち子どもたちのあこがれの的となりました。大きなたまごと大きなおなべで作ったふんわり黄色いカステラ、話し声が聞こえてきそうな動物たち、最後に現れるたまごのくるま……「子どもは喜ぶぞとは思ったけれども、こんなに好かれるとは思わなかった」と、当時の編集部が驚いたほど、子どもたちからの支持を受けました。その後50余年にわたり子どもたちの人気者として愛され続けています。

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『ぐりとぐら』は「こどものとも」93号目。試行錯誤の中、色々な形の絵本が出ていた中で、特にこの『ぐりとぐら』が子どもの心をつかんだ理由のひとつとして、この絵本がとにかく「愛情から生まれた絵本」だったということがあげられます。何より子どもたちが喜ぶ絵本を届けたいという「こどものとも」編集部のストレートな思いと、作品を作ることが何よりの楽しみで、のびのびと屈託のないお二人の作家の個性が出会ったことで、子どもたちへの愛情が、まるで形になったかのような絵本『ぐりとぐら』が生まれたのです。

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1963年はほかにも、横内襄さんの絵による初めての絵本『ちいさなねこ』、コンビ2作目なった渡辺茂男さん・山本忠敬さんの乗り物絵本『しょうぼうじどうしゃじぷた』などが出版されました。また、アメリカですでに絵本作家として作品を手がけられていた松野正子さんの文章と、瀬川康男さんの絵による『ふしぎなたけのこ』が刊行されました。『ふしぎなたけのこ』は第一回ブラチスラヴァ世界絵本原画展でグランプリを受賞しました。

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